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「相続した実家、どうしようか…。」
松江市や出雲市でこのお悩みをご相談にいらっしゃる方は、本当に増えています。
ご両親が住んでおられた家を引き継いだものの、すでに別の場所で暮らしている。ご自身が古民家にお住まいではないだけに、修繕に踏み出すのも、解体に踏み切るのも、決め手が見つからない。
そんな声を、私はこれまで何度も伺ってきました。
遠所大工店では、古民家のリフォーム・リノベーションを手掛けています。
今日のコラムでは、築年数の経った家を「解体すべきか、再生すべきか」で迷っていらっしゃる方に向けて、判断の軸となる視点をお伝えします。
結論からお伝えすると、解体を決める前に一度は「再生」を検討材料に入れていただきたい、というのが私からのお願いです。

■ 築100年の古民家に眠っている見えない価値
築100年以上の建物は、当時の大工が知恵と技を凝らした堅ろうな造りです。
土台や構造といった目に見えない部分にこそ、先人が微に入り細に入り手を施してきました。だからこそ、100年もの時を経て、いまも建物がそこに在る。
これは決して当たり前のことではありません。
木造住宅は、適切に手を入れさえすれば、200年・300年と住み継ぐことができます。
私が宮大工修業で携わった神社仏閣には、何百年と立ち続けてきたものがいくつもあります。古民家もその延長線上にあると、私は考えています。
木は伐採されてからも呼吸を続け、時間とともに強度を増していく素材です。
新建材にはない、時を味方につけられる長所。このことは、古民家を残すべき理由としてもっと多くの方に知っていただきたいと思っています。
もう一つ、解体される前に気づいていただきたいのが、家に刻まれた家族の記憶です。
私自身、曽祖父が建てた家で幼少期を過ごしました。古き良きたたずまいや木のぬくもりは、今でも強く印象に残り、かけがえのない財産になっています。
図面には載らないこの「記憶」こそ、お金に換算できない古民家の財産だと、私は確信しています。
■ 解体か再生か:迷ったときに使える4つの判断軸
「とはいえ、感情だけで決めるわけにはいかない」。
そうおっしゃる方には、判断軸として次の4つを順番に確認することをおすすめしています。
一つ目は構造の状態、二つ目はライフプラン、三つ目は活用方針、四つ目は資金計画です。
構造の状態は、正直なところ現地を一度きちんと見させていただかないと判断がつきません。
とくに土台・柱・梁・屋根の四つは、再生の可否を大きく左右します。
傷みが激しいように見えても、骨組みを開いてみると意外と健全だった、という事例も少なくありません。
逆に、見た目はきれいでも、シロアリや雨漏りで内部が傷んでいるケースもあります。
外観で判断しない、というのが古民家を見るときの大原則です。
ライフプランは、誰がいつから住むかを決める作業です。
ご自身が住まれるのか、お子さまの世代が住まれるのか、賃貸や民泊として運用されるのかで、再生プランは大きく変わります。
また、活用方針が固まらないまま工事に入ると、後から後悔につながりやすいので、私は必ず最初の打ち合わせでお聞きしています。
資金計画については、住宅ローンが使えるケースと使えないケースがあり、補助金や減税制度の対象になることもあります。
これは案件ごとにかなり差が出るため、現地確認のうえで率直にお話しさせていただきます。
■ 古民家再生でできること:断熱・水回り・間取りまで
「古民家は寒い」「水回りが不便」。
これは確かに、昔ながらの日本家屋に共通する課題です。
しかし、断熱材を入れ、設備をリニューアルすれば、より使いやすい住環境へ整えることができます。
情緒を醸す余白のある住まいで、彩りに満ちた日常をかなえていただくことは、十分に可能です。
私が手掛ける古民家再生では、骨組みの状態まで一度解体したうえで再構築する方法をよく採用しています。
明るく開放的なリビングが欲しい、家事動線をすっきりさせたい、収納を増やしたい、バリアフリー化したい。
こうしたご要望をすべて反映させながら、堅ろうな骨格は活かしていく。これが再生の醍醐味です。
床下や壁内も一度ひらきますので、土台のシロアリ被害や雨漏りの痕跡も同時に確認でき、結果として家の寿命を一気に延ばせるのが大きなメリットです。
先日、ベルギーの方が購入された松江の物件を改装した際は、壁板に力強い木目のナラ材、天井板には滑らかな木肌のサワラ材を使用し、木のやさしい風合いに包まれ、落ち着いた空間に仕上げました。
太い梁や柱が存在感を放ち、畳や障子といった和のしつらえが美しい日本家屋は、近年、外国人からの人気が高まっています。
海外の方の目から見ても、日本の古民家は世界に誇れる住空間なのだと、改めて教えていただいた一件でした。
古民家を「古いから不便」ではなく「個性のある資産」として捉え直してみていただけたら、選択肢はぐっと広がります。

■ ご相談の前にお願いしたい3つの準備
実際にご相談いただくにあたって、用意していただけると話が早く進む情報があります。
とはいえ、完璧に揃える必要はありません。あくまで「あれば助かる」程度のものとして読んでいただけたらと思います。
一つは、家の基本情報です。
建築年・延床面積・登記簿の情報・図面(残っていれば)など。
二つ目は、現状の写真。
外観・内観・気になる箇所を、スマートフォンで構いませんので撮影しておいてください。
雨漏りのしみ、床のたわみ、壁のひびなど、気になっている点が分かるカットがあると、初回相談の精度が一気に上がります。
三つ目は、どんな暮らしを望まれているかのメモです。
「夏は涼しく、冬は暖かく」「孫がのびのび過ごせる広間が欲しい」。断片的な言葉で構いません。
「どこを、どう直せばいいのか分からない」とおっしゃる方も多くいらっしゃいますが、これはまったく問題ありません。
私は時間をかけて細やかに打ち合わせを重ね、お客さまのライフスタイルをじっくりとくみ取ります。
その中から、寄り添った再生プランを一緒に組み立てていきますので、まずは気負わずにご相談ください。
当店の施工事例はホームページにも掲載しておりますので、雰囲気をつかむ参考になさってください。
・相続した実家を解体すべきか迷っている
・古民家を再生して住み継ぎたいと考えている
・築年数の経った家の活用方法(住まい・賃貸・民泊など)を検討している
このようなことでお困りの場合は、遠所大工店まで、まずはお気軽にご相談ください。